不吉な案件
スマホがまだ普及する前で、ブログと言う言葉が出始めたころの話。
僕(S川)は小さな下請IT企業に務めていました。
1月、時は未曾有の大不況。
年度末に向けて、僕のスケジュールは空いていました。
厳先輩「おい、S川。」
「はい。」
厳先輩「案件どうなった?お前来週からどうすんの?」
「うちに振れるの出たみたいです。今日元請に行って話してきます。」
厳先輩「相手は?」
「Zさんです。」
厳先輩「わかった、俺今日いけないから。頼むな。」
「・・・はい。」
(一人のほうが気が楽です・・・・。)
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元請女「あっ!S川さんじゃーん♪どうしたの?」
「お疲れ様です。Zさんと打ち合わせですよ。」
元請女「Zさん!わかった!今呼ぶねー。」
(いるか・・・、そりゃいるよね。アポ取ってるんだから。)
元請Z「おうお疲れ。」
「お疲れさまです。」
元請Z「早速だけどね。システム間連携したいのよ。」
(えっもう?、世間話とかして慣らしたかった。)
元請Z「うちの商品と今度のお客さんが作るシステムを連携させたいんだけど、どうせ作るならそこを汎用的に作ってさ、いろんなお客さんで使い回せるようにしたいのよ。データーベースを連携させるんじゃなくて、保存したら更新内容だけ通信で飛ばしてみたいな感じで結合を疎にする感じ。データの形式も汎用的にしてさ。」
(早い早い早い、スピードが早い。)
元請Z「導入企業が増えたらS川君にとっても嬉しいでしょ。ウィンウィンだよね。」
(好きだなそのフレーズ。)
「実現方法がぱっと思いつかないんですが、Zさんの方でもうあたりがついてるんです?」
元請Z「うん、これ。」
(技術マガジンの今月号・・・、そんな面白そうなこと書いてあったっけ?)
(付箋・・・)
ペラリ・・・。
(んん・・・?みじ・・・かくない?この記事。)
(これが「あたり」なの? )